2015年9月28日月曜日

北海道で出会ったデナリ

所属している学会の年次大会が北海道大学で開催され、2年ぶりに札幌に行きました。
2年前もシルバーウィークと呼ばれる大型連休があり、札幌が誇るべき「レインボーマーチ」(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど性的少数者と呼ばれる人たちの尊厳のための行進)の
最終回のために、大学院の合宿と合わせてかけつけたのでありました。

学部時代を過ごした北海道大学のキャンパスをゆっくり歩いて回るのは卒業して以来だったし、
変わっていく札幌の街と、それを眺めている自分も変化をしていっている、なんて思いながら、
街を歩きまくりました。
「サッポロで歩く。ナニカが変わる。」は、レインボーマーチのスローガン!

地下鉄を使って、北海道神宮と円山動物園にも行きました。
開拓神社である神宮には、北の大地を切り開いた植民者たちが讃えられていて、開拓された側(つまり先住民であるアイヌ)に思いを馳せると何とも言えない気持ちになります。
北大で見かける「フロンティア」(辺境、未開の土地のようなニュアンスがある)という言葉も、ちょっと恥ずかしいから、いい加減やめてほしいなと思いました。
本殿に参拝後、憲法改正を求める署名が置いてあったのを見て、なるほどと思いました。ジャパン会議か。

円山動物園のシロクマがデナリという名前だったので、それについて書きたくなりました。

写真を拡大すると、右下でくつろいでいるシロクマの解説が書かれています。
このオスのシロクマがデナリで、1993年に米国ユタ州ソルトレイクシティで生まれ、95年に円山動物園に来園したとあります。
名前の由来について、
「『デナリ』とは北米最高峰のマッキンリー山のことで、
先住民の言葉で『偉大なるもの』を意味します。」
と書かれています。

「先住民の言葉で~」というのはいかにもスピリチュアルでエキゾチックに聞こえますが、この解説に少し足したいと思います。
マッキンリー山のマッキンリーとは、米国の大統領ウィリアム・マッキンリーに由来します。
大統領を讃えるために1897年頃マッキンリー山と名付けられました。
この山が先月、正式に「デナリ山」としてオバマ大統領に宣言され、米国内では結構ニュースになりました。
アラスカの象徴的な山(米国最高峰ということは、日本でいうところの富士山!?)が、侵略者の代表である白人男性を讃える呼称から、先住民の言葉に改名されたのです。

マッキンリー山はアラスカ州に位置し、米国の本土から離れています。
アラスカは元々ロシア領でしたが、クリミア戦争で財政難に陥ったロシアから米国が1867年に購入した模様。
ロシア領になる前から先住民が住んでいたわけですが、先住民に配慮した米国政府の政策は20世紀後半以降になってようやく取られるようになりました。
デナリ山のような改名は今後も続くでしょう。(参考
こうした多文化主義的な修正が、実際の先住民の生活の向上や尊厳の回復に繋がることを強く祈ります。

写真では確かにのんびり写っているシロクマのデナリですが、
動物園にある「のんきな」とか「のんびり」といった動物たちを形容する言葉が大変気になりました。
最後に行ったのが8年くらい前だったのですが、旭山動物園などを意識してか随分円山動物園の展示が変わったと思います。
すごくわかりやすく、面白くなり、あちこちに見せる工夫がされています。
でも、動物たちがこんなに人間の目にさらされる状態で「のんびり」できているのかは、すごく疑問です。

それにしても、動物園はなぜ動物に名前を付けて(鳥とか爬虫類で名前がないのもいた)、オスには男の、メスには女の名前を律儀につけているんでしょうかね。たまに命名者(たぶん一般の人)を表示している命名板っていうのもあって、人間の価値観で動物と関わっている様子がおかしかった。まだ服を着せたり乳母車に乗せたりしているわけではないから、動物をいかに動物として展示するかに関心がないわけではないのだろうけど。

たいして褒めずに書いていますが、懐かしい人にも再会でき、本当にとても楽しい札幌行でした。

大通駅あたりで見た、「市有地を買いませんか」みたいな市当局のポスターが気になってる。

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